心と向きあう旅の記録

我にとって成長とは、自分と周りの出来事全てにOK!を出すこと

ストックホルム旅行記6

ガムラスタンの駅に着くと、もう空が暗くなっていた。

旧市街の街並みは明日におあずけ。

ホステルに直行しようと歩き始めたが

道が石畳みでキャリーバッグが重い。

坂道もある道のりをぼちぼち進み

ようやくホステルに辿り着いた。


…がドアが開かない。

事前にメールされた暗証番号の数字を入力してドアを開ける仕組みだったため、

暗証番号を押し間違えたのだと思い、

再度試みる。が、開かない。

一瞬、不安が頭をよぎる。

春のスェーデンはまだ寒く、コートや手袋が

必須だった。夜になり気温が下がる中、

入れないままだったらどうしよう…

すると、タクシーの運転手のおじさんが

話しかけてくれた。

実は、さっきタクシーの誘いを断った

おじさんだ。

しつこい誘いだったらどうしよう…と

若干警戒しながら、ここに入りたいけど、

入れないというジェスチャーをすると

何やら電話をかけて去っていった。

私はタクシーにも見捨てられた気分で

途方にくれていると、中から女の人が

出てきてドアを開けてくれた。

きっと、タクシーのおじさんがホテルに

電話をしてくれたのだ。

お礼も言えなかった…と残念に思いながらも

心の中でとても感謝した。

無事にホステルに着き、部屋に入る。

ここのホステルは一部屋4名の相部屋だ。

入ると日本人の女の子がいて、驚く。

まさか、こんなに早く日本人に会えるとは。

お互い挨拶して、軽く旅のいきさつを話すと、安心したのか直ぐに寝てしまった。


【今日の頭の中】

心に余裕があるからこそ、

相手に優しくなれる。人に親切にできる。

スェーデンで出会う人たちみんな

そのことを体現しているようだった。

困っている人に自然に手を差し伸べられる、

そんな人になっていきたいと思った。




ストックホルム旅行記5

空港に着き、日本で予約した空港バスで

市街まで。そこからは電車で

旧市街のガムラスタンに向かう。

念入りに移動手段を調べていたので

空港からのバスの予約を日本で済ませ、

電車は1番安く移動できる

交通系ICカードを入手することにした。

日本でももったことがない中、

駅の有人チケット売り場に行った。


つたない英語でも何とかゲット!

スェーデンの公用語はスェーデン語だが

ほとんどの人が英語を話すことができる。

その時、駅員のおじさまが一言‥

「(歳は)いくつなんだい?」

日本人は若く見られるというが、

辿々しい話し方と少年みたいな格好が

余計に若くみられたのか‥‥

質問に驚きながら私は

アラサーの年齢を返答した。

その時のおじさまの苦笑いの表情は

今でも覚えている。

すぐさま、「どういう意味です?」と

言い返すと、笑いながら「いやいや‥‥」と

モゴモゴ話すので英語が得意ではない私は

彼の返答を聴き取れなかった。


ストックホルム中央駅は、スェーデン最大の

ターミナル駅だ。

基本はスェーデン語で案内が書かれている

ため、読めない。

携帯の翻訳アプリで文字を打ち込むのも

面倒に感じ、駅内のパン屋の若い女性に

ガムラスタンに行くにはどのホームか

尋ねると、とても感じよく教えてくれた。

「have a nice day!」このやりとりが嬉しい。


駅構内には飲食店やスーパーなどもあり

少し食べ物を調達した。

ヨーロッパはオーガニック商品が一般的に

なっており、安心して購入できる。

そこのスーパーはセルフレジになっていて

わからないながら操作した。

が、やはりわからない。

近くの店員さんにヘルプを求めたら

これまたとても感じよく教えてくれた。

しかも、旅行者だとバレバレの私が買おうと

していたドリンクが、水で薄めないといけない家庭用のものだと教えてくれ、

そのまま飲めるドリンクがある売り場まで

案内してくれた。なんて、親切なんだろう!


スェーデンに到着して、たった数時間で

フレンドリーで温かい人々に出会え、

スェーデンが大好きになった。


【今日の頭の中】

英語が上手く話せなくても

こちらが伝えようとする姿勢があると

相手は真剣に耳を傾けてくれる。

英語が上手くなくたって、行きたいなら

思いきって旅した方がいい。

何とかなる!ものなのだけれど

これを実感するには、やはり実際に

やってみるほかない。

話せないないなりに、今すぐできる簡単な

準備(必要そうなフレーズをメモしていく

とか携帯に翻訳アプリ入れてくとか)

をするだけでも、自分なりの最低限の

安心と自信につながったりする。

やってみないのもいいけれど

やってみないともったいない。







ストックホルム旅行記4

次の飛行機のフライト時間は約9時間。

長旅だが、機内で過ごす時間を

楽しんでいた。

同じく通路側の座席だったのだが

幸いなことに、間の2席は空席で、

反対の通路側に中国の方と思われるご婦人が

座るのみ。

隣の人との簡単な会話を楽しむのもいいが、

長時間のフライトでは、隣に人がいないことが

有り難かった。


比較的どこでも寝られるタイプなので

気づいたら眠ってしまっていた。

ふと起きると、2席空いた先の中国人のご婦人が

2席分の肘掛を上げ、空席のひざ掛けで

自分の席の横に枕を作り、私に向かって

「横になって寝なさい!」と呼んでいる。

驚いた私はとっさに遠慮して、断る仕草を

したが、

「いいから!」と言って何度も勧めてくれた。

ものすごい勢いの押しに、

恐る恐る3席を陣取って横に寝た。

心の中は、こんな非常識なことして

キャビンアテンダントに怒られるかも

ヒヤヒヤしていて結局、寝れなかった(笑)

ただ、態勢は楽だったので、

体はあまり疲れずにすみ、有り難かった。


寝たフリをしながら、

(すぐに起きるとせっかくのご厚意を

無駄にするような気がして…)

しばらくしてから「ありがとう!」と

感謝を述べて席に戻った。

その後トイレに行くために席を立つと

ビックリ!

空いてる席に陣取り、横になり寝ている人が

あちこちにいた!笑笑

キャビンアテンダント気にする様子も

全くない。

あんなにヒヤヒヤしなくて良かったんだ…

と、ここでも感覚の違いが勉強になった。


あの中国人のご婦人も横になって寝ていた。

ふと、何で私に先に勧めてくれたのか

気になってきた。

日本人を気にせず自分が先に寝てしまう事も

できたのに。

もしかしたら、私の寝方が酷かったのかも

しれないと頭をよぎった。

明かりを遮るために、ニット帽を

目を覆うように鼻まで下ろし、

フード無しのコートを前に頭から被り

体育座り。

あっちへこっちへ頭がコックリコックリ

していたのかもしれない。


とにかく、中国人のご婦人の優しさに

感謝がいっぱいになった。

どこか関西のおば様の雰囲気が漂い、あの

周りを巻き込むおおらかで強烈で温かい

パワーは

万国の女性共通なのかもしれない。


【今日の頭の中】

人は見かけによらず。

怖がって疑ってしまうことも

大事な防衛手段。

それでも、少し違う見方をしてみると

全く違う一面が見えてくる。

湧いてくるどんな感情も味わいながら

これでよかったというところから

意識してみる。

慣れるまでついつい忘れてしまうから

気づいたらやってみる。

気づいたらやってみる。


ストックホルム旅行記3

無事に離陸した後は乗継の空港まで

約3時間。

機内食を食べ、映画を観て過ごす。

比較的新しい映画もあり驚いた。


予約時に選べる座席は決まって通路側。

窓を見ながら過ごすのは大好きだが

隣の人を気にせず自由に身動きできる方が

気楽だからだ。

久しぶりの機内で過ごす数時間は

あっという間に過ぎた。


乗継の空港での待ち時間も数時間あった。

経由空港の散策を楽しんだあと、

私は小さなノートに日記を書いた。

良くも悪くも昔のことを忘れやすい私は

細かくメモをする癖を身につけてきた。

本来マメなタイプではないが

この旅行は私にとって良い経験になると

確信していたので、写真だけではなく

文書で残しておきたかったのだ。


それともう一つ理由がある。

この旅行に行くことを知った知人から

一冊の本を勧められた。

片桐はいりさんの『わたしのマトカ』。

撮影で訪れたフィンランドの旅を

コミカルに綴ったエッセイだ。

読めばすぐに片桐はいりさんの世界観に

引き込まれ、フィンランドに行きたくなる

そんな素敵な作品。

私もこの旅をそんな風に文章で残したいと

そんな思いも湧いたのだ。


ひとり旅。時間はたっぷりある。

人がまばらな搭乗口付近のロビーの一角に

座りペンを走らせる。

ちなみに、この書いている姿を家族がみたら

一言二言小言を言われるような格好で。

なにせ、8席程が一列に並ぶベンチの

一番窓側に陣取り、肘置きに両足を膝まで

掛けながら、横向きに椅子の背に

もたれている。日本では絶対にできない。

周りには空港で、思い思いに過ごす人たち。

彼らは周りを気にせず、好きな姿勢で

自由にくつろいでいる。

私はすぐに海外の雰囲気にのまれ

気が大きくなったのは、間違いない。

イヤホンもせずに音楽をかけている

東南アジア系の若い女性が二人。

彼女たちの携帯からはR&B系のカッコいい

音楽が流れていた。

それは誰の曲?って気軽に訪ねられたら…と

思いながらペンを走らせていた。



【今日の頭の中】

文化や価値観の違いに触れると

当然だと思っていることが当然ではないと

知ることができる。

小さなことから大きなことまで。

それは自分を知る貴重な機会。

違いを知って気が楽になる事もあれば

その違いに憤ることもある。

そんな時は、自分が大切にしていることを

再確認できる。

これは、海外だからではなく、日々の

日常でも、身近な家族との間でさえ

起こる出来事。

いつも自分を知る貴重な機会。




ストックホルム旅行記2

約10年ぶりの海外、しかもひとり旅とあって

少しの緊張と期待と不安が半々だった。

もっとも恐れていた寝坊をすることもなく

始発の電車にも無事に間に合い、

空港の手続きには余裕を持って臨めた。


手荷物を預ける際、預ける荷物の中に

カメラの充電器を入れてしまっており、

取り出すのには手間取ったし

空港の中を散策していて気がついたら

搭乗時間ギリギリで焦ったりと

全てがスムーズではなかったけれど、

空港にいて今から飛び立つ状況に

心はワクワクせずにはいられなかった。


慣れない状況や初めての事をする時、

スマートにできるようにと

いつも無意識に振舞ってしまう。

少しでも良く見せようとか

バカにされないようにとか

迷惑にならないようにとか

今までの環境で身に纏いつけてきた意識。

それが、不思議と日本から外に出ると

そういったしがらみを脱ぎ捨てて

自然に振舞える。

それは

誰も自分を知っている人がいないからこそ

心が開放的になるのかもしれないし

そんな事より無事に旅ができる事に

集中するからかもしれないが、

(言葉もままならない中、電車に乗ること

も一筋縄ではいかない…)

ありのままの自分でいいやと思える瞬間。

ドジしたって、失敗したって、ここまで

こうしてやってこれたんだからすごい!と

自分を認められるようになる。

私にとって海外ひとり旅は、そうやって

自分を褒めて自信に繋げられる

良い機会だとわかった。

何が起こっても良い経験になること。

日常ではついつい忘れてしまうけれど、

この軽い心持ちを

日々意識していこうと思う。


いよいよ離陸する。この瞬間が一番好きだ。

なぜか小さい頃から空や高い所が大好きで

今もついつい目線は空を見上げてしまう。

空にこんな大きな物体が飛べることに

今更ながら感心と感動と

感謝の気持ちが湧いてくる。

世界中の何人もの人達の

空を飛ぶという夢が形になって、

今私は恩恵を受けている。

旅立つ時にはドキドキワクワクで

そんな事思ってもいなかったが、

こうして振り返ると、ジワーッと有り難い

気持ちがこみ上げてきた。


次に続く。


【今日の頭の中】

普段何気なく使っているもの。

服もノートも食べ物も家も道路も全て

多くの人のパワーが注がれて創られたもの。

自分一人では生み出せないもの。

そう思うと、全てに感謝の気持ちが湧く。

ペン一つにしても、多くの人の想いが

込められ、その背景には試行錯誤した努力や

喜びの歴史がきっとあるんだと思う。

働くことはどんな仕事でも、

もちろん家事でも、誰かの役に立っている。

誰かが創ってくれた服を着て、

誰かが育ててくれた野菜を食べて、

生活をしている。

究極、生きるということは、誰かのお陰で

成り立つもの。

そして、生きるということは、それだけで

誰かの役に立てるということ。

当たり前の事なのかもしれないけれど

改めて周りには感謝できることで

溢れていると感じた。

普段はすっかり忘れてしまっている

有り難い日々がある。




ストックホルム旅行記1

スェーデンに行く!

そう決めたのは一冊の本との

出会いがきっかけだ。


岩盤浴のあるスパを利用した時のこと。

自由に閲覧できる図書が何冊かあり、

もともとヨーロッパの雰囲気が好きな私は

北欧旅行のエッセイ本を手に取った。


スェーデン、デンマークノルウェー

フィンランドの4カ国の旅の記録が

マンガと写真でコミカルに綴られた

楽しいエッセイだった。

その本をマッサージチェアのような

1人用のゆったりしたソファで読んでいた

その時、

たった4センチ四方の掲載写真を見た瞬間

突然、涙が溢れてきた。


それはストックホルム市立図書館の写真。

円形の部屋の壁一面に本が並べられており

吹き抜けの天井は白く、中央には空中に

浮いているような半円の電飾が1つ。

建築家は「北欧モダンの父」と呼ばれる

巨匠エリック・グンナール・アスプルンド


本が大好きで、引越す度にその町の図書館に

入り浸る私は、実際に「本に囲まれた空間」

を目にし、きっと感動したんだと思う。

自分でもなぜあれほど涙がポロポロと

溢れてきたのかは、わからなかった。


この初めての感覚の体験は、

私の中で強烈に残った。

だからこそ、旅立てた。


もともと、何かをしてみたいと思っても

あれこれ考えては実行しないまま

納得する性格の私。

大きな買い物から小さな買い物まで

いつも考えに考えて、時間をかけて決める。

要は、覚悟が決まらないのだ。


実際今回も、時間も資金も確実に調整でき、

今行かないならいつ行くんだ!という

有り難い状況だったにもかかわらず

あーだこーだ言い訳を並べて、結局

決めたのはその本に出会ってから2ヶ月も

後のことだった。


今の時代、難なくできることが増えていく中

そのスピードに追いついていけない。

航空券のインターネット予約ボタンを

少し震える指で押した。

すると、呆気なくチケットは取れた。

当たり前の事だ。けれど、

悩んだ時間と行動した時間の差を思い、

少しの間ぼんやりとした。


取ってしまえば、自ずとやるべき事が

次から次に出てくる。

ボタンを押す前と後では、

状況が何もかも違うのだ。

早めにチケットを取っていればよかったが

直前のチケットは料金も高くなる。

その分を補うべく、安くて安全と思われる

宿泊先や移動手段を調べに調べて予約する。

空港に降り立ってからの行動を一つ一つ

シュミレーションし、必要な情報を集める。

慣れていない事や初めての事に関しては

かなり慎重な姿勢で臨む方なのだ。

それが慣れてきたらウソのように大雑把に

なる為、バランスが大事だとつくづく思う。


なんとか準備を終え、

始発で空港に向かった。



次に続く。


【今日の頭の中】

やってみたら、案外進んでいける。

案外なのだから、やっぱりやってみないと

わからない。

一方で、やってみたら、やらなかった先は

わからない。

どっちに行っても、その先に何があるかは

わからない。

それならば、行っても行かなくても

どっちでもいい。

ただ、行ってみた自分と行かなかった自分で

それぞれ違う体験をしているから、

それぞれ少し違う自分になる。

経験した自分。

経験しなかった自分。

どっちがいいかを選んだらいい。

どっちの行動を選んでもいい。